ゴールデンボーイ

.11 2012 映画 comment(2) trackback(0)
ゴールデンボーイ [DVD]ゴールデンボーイ [DVD]
(2002/08/23)
ブラッド・レンフロ、イアン・マッケラン 他

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 昨年末に観た映画の感想のアップ第4弾は、
スティーヴン・キング原作で、
「スタンド・バイ・ミー」や「ショーシャンクの空に」と同じ「恐怖の四季」の一角を成す作品、
「ゴールデンボーイ」です。

《あらすじ》
1980年代のロサンゼルス郊外。
成績優秀な「よくできた」高校生であるトッド・ボウデン
(演じるは、この頃はまだ美しかったブラッド・レンフロ)は、
学校の授業をきっかけに、
ナチスがユダヤ人強制収容所においてどのような残虐な行為をしたのか、
興味を募らせていた。
そんな折、トッドは、同じ町に住むドゥサンダー老人
(演じるはX-MENのマグーニート役でお馴染のイアン・マッケラン)が、
「吸血鬼」の異名で恐れられていたナチスの元将校であることを突き止める。
戦犯として指名手配されていたドゥサンダー老人に対し、
彼の過去を暴露しないことを条件に、
如何様にしてユダヤ人を虐殺したのかを語るよう強制するトッド。
最初は自身の秘密が明らかになるのを恐れ、
嫌々トッドに従っていたドゥサンダーであったが、
徐々に彼の心の闇は覚醒して行き…。

以下、ネタばれありの感想です。
この「ゴールデンボーイ」、映画と原作小説共々、
以前からチェックしたいと思っていた作品でして、
勤め先の冬季休暇を利用して両バージョンをチェックしました。
鑑賞の順番は当然(?)映画→原作小説です。
で、結果的にこの順番でチェックして正解でした。
映画で自分が足りないと感じていたものが、
原作ではちゃんと描かれており、
要するに映画の方が原作の良い部分を削ぎ落としてしまっているんですよね。

トッドがドゥサンダーと出合ったことにより、
内なる暴力性・凶暴性を開花していくことを描き、
どんな人間(特にトッドのような「よくできた」者)にも心に獣を宿していることを、
本作はテーマにしていると考えました。
しかし、それを伝えるのに映画では明らかにトッドの犯す罪、
そしてトッドの心が闇に堕ちて行く描写が不足してると思うのです。
トッドが本作でやったことと言えば、
傷付いた鳩を殺したこと、
デンカーの殺人の尻拭いをしたこと、
デンカーとの接触をユダヤの追跡者に黙っていたこと、
そして、ドゥサンダーが協力した学力テストの不正を黙っておくよう、
学校のカウンセラーであるエドを脅したことくらい。
これではトッドの心が闇に堕ちたと言うには、
ちょいと訴求力不足かな。
特にエドの脅迫については、
トッドの内なる獣の発現を表す為には、
トッドがエドを殺害しなければならなかったと思います
(観ていてそうなるだろうな~…と予想し、
血みどろの展開に備えて身構えていたら、
そうならずに肩透かしを喰いました)。
原作では、ドゥサンダーを追って来たイスラエル政府の調査員がトッドと対面し、
トッドがドゥサンダーの闇を知っていたことに感づき、
トッドと別れた際に以下の台詞を口にします。
「しかし、ひょっとすると、あのドイツ人どもがやったことには、
われわれに恐ろしい魅惑をかきたてるなにかがあるのかもしれない
―想像力の地下墓地を開く何かが。
ひょっとすると、われわれの戦慄や恐怖の一部は、ある一組の適当な
―いや、不適当な―
状況がそろえば、われわれ自身も進んでそうした施設を作り、
そこに人員をおくだろうという、
ひそかな認識からきているのかもしれない。
黒の思わぬ発見だ。
ひょっとすると、適当な一組の状況がそろったときに、
その地下墓地に住んでいるものが喜んで這い出してくるのを、
われわれは知っているのかもしれない。
それがどんな姿をしていると思う?
前髪をたらし、靴墨を塗ったようなチョビひげを生やし、
ハイル、ハイルと叫びまくる狂った総統の群れか?
赤い悪魔か、鬼か、それとも臭い爬虫類的な翼で飛びまわるドラゴンか?
その大部分は、ありふれた会計係のような姿をしているんじゃないか、とわたしは思う。
グラフや、フローチャートや、電卓を持った、小さい人間たち。
それが殺人率を最大にしようと待ちかまえている。
つぎのときには、ただの六人でなく、二、三千万の人間を殺せるようにだ。
そして、彼らの中にあるものはトッド・ボウデンに似ているのかもしれない。」

映画版では、イスラエルの調査員が語る上記のようなことをもっと掘り下げて欲しかった。

で、原作では、その足りない部分をちゃんと描いていました。
トッドはエドを殺害するだけでなく、
映画のドゥサンダーと同じようにホームレスを何人か殺害し、
ラストでは直接的な描写はなかったものの、
猟銃を使った無差別殺傷まで行ってました。
倫理的な面で色々と制約があったことは予想できますが、
これらの描写は必須だったと思うけどな~…。

前半部分で描かれたトッドとドゥサンダーの主導権を巡る争いは、
文句無しで面白かった。
最初は主導権を握っていたトッドが、
徐々にデンカーに支配されていく件は、
デンカーの眠っていた悪意が覚醒する過程を良く描けていたと思います。
この前半部分に限って見ると、
ちゃんと原作を再現出来ているみたいですね。

そんなこんなで原作小説と共にチェックした本作は、
テーマを伝えるのにパンチ不足な箇所が見受けられた、
惜しい1本でした。
以上!
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comment

K-TOGAWA
著者が出来がイイと推奨していた作品です。が、前半での二人の出会い。二人の殺害動機が伝わって来ませんでした。でも前半の二人のやりとりにゾクゾク。まだ観ていませんが映画の方が面白いかもしれません。
2014.11.20 22:11
狂犬佐藤
K-TOGAWA様、はじめまして。

>著者が出来がイイと推奨していた作品です。
勉強不足で恐縮ですが、初めて知りました。
個人的には、原作で描かれていた「普通…と言うより出来の良い人間の
心にこそ邪悪は巣食う」と云う怖さが、映画ではかなり軽減されていた
と思うのですが、キング自身は満足していたんですね。

まだ映画の方は観ていないとのことですので、是非観て頂いて、原作
との違いを楽しんでみて下さい。
2014.11.21 23:40

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